2013年11月10日日曜日

ピクルス通信no.231 支那そば

五反田は男の夜の街として名高い。

客呼びこみが立ち並ぶ界隈の一角に、まさに角地に、そのラーメン屋はある。

店の正面額には店名でなく「支那そば」と大きく書かれている。

店内に入ると180㎝ぐらいの白髪まじりのオヤジが「いらっしゃい」と淡々と告げる。

黒い半袖着。目の窪みも様々な人間模様や醜態を吸い込むがごとく闇でいる。

刀鍛冶の佇まい。「これはヘマできない」とこちらは若干の緊張を覚え、席についてまずコップの水をがぶり。

刹那、「支那そば」を注文する。


注文したあと刹那メニューを見れば「ねぎそば」「ワンタン麺」「チャーシュー麺」に、つまみ数種と酒数種が確認できた。



来た。

スープは魚系の出汁で、麺は平く縮れ、パリっとした海苔が添えられ、、、、ええいっ!

黙って食う!

ずずずずずず

(この味は大学生にはわかるまいよ)←心の声




この店、ボサノヴァが流れている。

しかし安直なカフェ・ボサノヴァ・コンピレーションを流しているわけではない。

ヴィニシウス・ヂ・モライスの渋いボーカルや、前衛的に調和するタンバ・トリオなどを絡め、店主選のコンピと見た。


つり銭の無いよう小銭を差し出しながら、私は聞いた。

「ブラジル音楽が好きなんですか」

店主は、ぴた、と指を止めてボツリ。

「ブラジル音楽も好きですね」

いま「も」と仰いましたね。聞き逃さないですよ、その「も」は。




店を出ればまた界隈を歩かざるを得ない。

手首をひらひらさせてアジア人の女性が腰を寄せてきた。

「オニイサン、アソバナイ?」

私はキッと目を見開いて告げた。


「私はもう満たされている!」


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支那そば はせべ
東京都品川区東五反田1-18-14 東五反田ビル 1F
03-3449-4091
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若竹純司(遠方客)

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