2013年11月3日日曜日

ピクルス通信no.230 やっていないいないバー

東京に来て早々に、常連になりたいと思わせる店を見つけた。

自宅から徒歩5分。こじんまりとしたその路面店はスポーツバーかつワインバーであるらしい。

店の窓には数枚のジャズLPが飾られているから、ジャズバーでもあるらしい。

「らしい」と言うしかないのは、見つけたのはお昼時でオープン前であるらしく実際には入店できていないから。

またオープンしていそうな夜に来よう。


その後、何度も店の前を通ったが店が開いていることはない。

いつ開店しているのだろうか。ひょっとして休業しているのか。


飾られていたLPの一枚がオスカー・ピーターソン・トリオの『サムシング・ウォーム』。

オスカー・ピーターソン・トリオ サムシング・ウォーム

『ザ・トリオ』『ロンドン・ハウスのオスカー・ピーターソン』と並び、シカゴ・ロンドンハウスでライブ収録されたトリオ黄金期を彩る一枚。他2作は聴いたことがあるものの、本作を未聴の私としては、その内容をぜひ店内で確認させてもらいたい。


それから3ヶ月経ってもやはりオープンはお目にかかることはなかった。

「この店いつやってるんだろうね」と話しながら店隣のマンションに入って行く夫婦の会話を聞いた。


『サムシング・ウォーム』の内容を聴きたい欲は募るばかり。

我慢できず結局LP盤を購入するに至った。

不世出のトランぺッター、クリフォード・ブラウンの早逝を悼んでベニー・ゴルソンが作曲した〈I Remember Clifford〉のライブ録音を収めている。

この曲の他の名演と同じく、せつせつとした演奏で始まる。

次第に「オスピー節」が本領を発揮するミディアムテンポにうつる。

やがてアップテンポにうつる。テンポがあがっても決してギアチェンジをせず軽々と指をまわす様。

疾走する悲しみを噛みしむ。


今朝、例の店の前を久々に横切った。

数枚飾られていたジャケットが全て入れ替わっていた。

ひとけあり。どうなっているのやら。

若竹純司(遠方客)

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