2013年9月22日日曜日

ピクルス通信no.224 肉関係

午前8時半、いつもの女に電話をかける。

2コールで女が出る。

「おろし唐揚げね、若竹だけど」。

手短かに伝え、電話を切る。

12時、休憩に入るとすぐに女のところへ向かう。

あいつんところの「おろし唐揚げ弁当」は絶品だ。
どちらかというと「竜田揚げ」に近い趣向で。
添え物のきんぴらも悪くないしな。

“まずはおろしポン酢の封を切らずに一個食べ、あとは全てにかけるとするか。いや違う。アツアツでカリカリであろう全唐におろしポン酢をかけるべし。ここで「まだら」にかけておくことが肝要。「地」の味もいただく!”

算段をとりながら歩いて3分、人目につかない脇道へ入る。

、、、やれやれ、今日もか。女の前には人だかりができている。

女が忙しそうにスーツ姿の男達を相手にしているのをしばし眺める。

いずれ目が合う。俺は片眉をちょっと上げて合図。

「あ、若竹さんね、できてるわよ、400円ね」

白割烹着に白頭巾をかぶった女が言う。

上の名も下の名も知らないが、転勤以来もっとも頻繁に顔を会わせている女が。

「ありがとう。お釣りはいるよ」

金を払って近くの公園へ歩きだしながら袋の中身を見る。

、、、、やれやれ。これは「おろし唐揚げ」ではなくて「デミバーグ(デミグラスハンバーグ)」じゃないか。

おっちょこっちょいなあいつ。まぁ憎めんがね。

旋回。

「これデミバーグ。違う人の」

「あっ、違ってた?危なかったわ。セーフ。はい、こっち」

口角をあげる俺。


「前回の東京オリンピックは会場で見たの?」

女とはいつかそんな世間話をしてみるか。

   
グリーグ作曲《おばあさんのメヌエット》

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