2012年8月6日月曜日

ピクルス通信no.165  ムードが雰囲気と訳されるなら

縁は異なもの。

一昨年の年末、通っているカフェvivanの忘年会で初めてキミリアーノ(敬称略)に挨拶した時には、まさかその人が一年半後にライブ鑑賞のプレゼントをくれるアシナガオニイサン(×オジサン)になろうとは思いもよらなかった。

以前よりその音楽性の心地良さを噂に聞いていたブルームーンカルテットのライブに、こんな幸運な形で巡り会うことができるとは。(7月30日@今池パラダイスカフェ21

photo by mihokoma (初対面&ライブ同席♡)
コルネット(黄啓傑)、ウクレレ(富永寛之)、ベース(工藤精)ドラムス(木村純士)という楽器構成がまず珍しい。

サポートメンバーの工藤さん以外は、BLACK BOTTOM BRASS BANDBAN BAN BAZARに名を連ねていた(いる)面々。

折り紙付きのテクニックでもって奏でられるのは、ジャズの香りをそこかしこに感じさせながらも、「軽み」を至上とするかのようなリラックスした音楽。

ジャンル、和洋問わずの選曲で、総じて「大人のためのグッドミュージック」と呼ぶに相応しいステージだった。(私が最も印象に残っているのはスカのリズムで装い涼しくアレンジされた《In A Sentimental Mood》。この日もっとも観客を喜ばせていたのは高橋真梨子《桃色吐息》のカバーかしら)

黄さんは言う。

「僕らがやってるのはジャズやないんです。ムード音楽なんです。“生活の周りにあるなんとなくいい感じ”を音に出来たらいいなと思ってます」

話の流れからパーシー・フェイス楽団《Summer Place》から始まるメドレー)、ポール・モーリア(《恋はみずいろ》)、ニニ・ロッソ(水曜ロードショーのテーマ《水曜日の夜》)などの名前を挙げてくれた。ジャズの文脈では軽視されがちなムード音楽に対する耳をさりげなく開いてくれたように思う。



ジャズを母体とする彼らだけあって、ミュージシャンならではの余技、シャレもいたるところに効かせていた。

たとえばAMラジオの人気番組オールナイトニッポンのテーマソングとして馴染みのある《Bitter Sweet Samba》では、ベートーヴェンの《エリーゼのために》(聴き間違っているかも。クラシックの曲だったのは確か)や島倉千代子《人生いろいろ》を挿入し、私達をニヤリとさせた。

ニヤリとしながらも、サテハ、とも。

きっと一曲のまわりには数えきれないほど沢山の曲やメロディが浮遊しているんだろうな、と。我々が耳にするのはその氷山の一角のようなものであって。

いま私の目の前で演奏されている曲は、いったいなんていう曲なのだろう。

便宜上《◯◯》と名付けられた曲だけれど、気づこうとも気づかぬとも、《◎◎》《△△》etc...といった様々な曲にも出あっているのかしら、と。

GOLDEN HITS~ブルームーンカルテットのすべて~

ウクレレを弾く富永さんには20日ばかり前にもそのお顔を拝見していた。

私が所属していた京都府立大学ジャズ研究会の先輩であるピアニスト福島剛と共演している写真をウェブ上で見かけたのだ。(7月10日@東京 小岩Back in time

福島さんと人気トランぺッターMitchとのデュオライブに飛び入りゲスト参加している模様だった。

このデュオライブは、福島さんの師匠であるピアニスト故市川修さんが生前にMitchさんと行ったデュオライブを生き写したものといっても差し支えはないだろう(福島さんはその興奮をブログに綴っている)。

ブルームーンカルテットのライブ終了後、キミリアーノのはからいで、富永さんとお話する時間が持てた。

福島さんの名前を出すと、ずいぶんと驚いた表情をされた。

話の流れから、市川さんの名も出た。「いっちゃん」と懐かしそうに。

私が京都に住んでいた頃、ジャズ喫茶に集う客やミュージシャン達は皆親しみをこめて市川さんを「いっちゃん」と呼んでいた。

閉店間際のジャズ喫茶LUSH LIFEに居合わせた折にべろんべろんに酔った市川さんから「あのな〜スウィングってのはな〜」と語ってくださったこと、ジャムセッションでは厳しい叱咤激励をくださったことが急に目の前に蘇ってきた。


私の目の前にいるのは誰なのだろう。私はいったい誰と会っているのだろう。


Blue Moon Quartet《縁は異なもの》

若竹純司

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