2012年1月8日日曜日

ピクルス通信no.135 殻のサテン

年末年始になると足が向く喫茶店がある。

栄のほぼ中心に位置しながら喧噪を離れることができ、往来が激しいこの時期には何かと重宝する。
外光がいっさい入ることもない屋内店舗。

天井、柱には黒く塗られた木材が使われており、照明の光も適度に奪う。

子供客がいない。

気が鎮まる。話は深まる。

ストレートコーヒーも充実しているが、いつも頼むのは軽い酸味に口が華やぐブレンド。

シノワズリ柄と呼べばいいのだろうか、今どきには珍しく、シンプルではないごてついた柄のコーヒーカップで飲めるのも何故だか嬉しい。

小腹が空いていれば、他ではあまり見かけないがこの店では定番の茄子サルササンドを。


いつの頃からか、すらりとして黒髪のショートカットで表情はすずしいお姉さんが珈琲を淹れるようになった。

店の雰囲気とぴたり合っている佇まいで、もはや店の方が彼女の雰囲気に合わせていると言っても大袈裟にならない。

彼女が選曲するBGMも店の性格に独特の陰影を与えている。

サンソン・フランソワが弾くドビュッシー。

枯れたというか、痛々しいというかバド・パウエルのパリ録音。

ソプラノが歌うオペラが大音量で鳴っていることもあった。

昨年末に訪れた時にはキース・ジャレットのケルンコンサートを全曲聴いて過ごした。


その後にはホリー・コールが流れ、聴きながら思った。彼女の選曲の芯を形成するものの一つは「時流との隔たり」だろうか、と。

「お姉さん、どういった趣味で音楽聴き進めているんですか。それよかお名前と血液型は、、、」

カウンターに座れば堰を切ったようにはしゃいでしまいそうで、それは自分がこの店に期待する雰囲気を壊してしまうだろうから、そちらには目を向けずボックス席に直行するのを続けてはや7年ぐらい経つ。


若竹純司

2 件のコメント:

  1. 今年もよろしくお願いします!

    西原珈琲店!オトナの喫茶店ですね。
    いい時間をお過ごしですねー♪
    サンドイッチにも惹かれます。こんど行きたいな~。

    いきなり声をかけそうなボクと違って
    貴君は奥ゆかしいですね、、
    kubota toyoaki

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  2. 久保豊師

    こちらこそ宜しくお願い致します!

    ちょっと前までが同じビルにバナレコが入ってたんですけどねぇ、お楽しみがひとつなくなりました。が不思議と落ち着くお店なので通っちゃいます。久屋大通を挟んで東のYURI、西の西原てな具合ですね。

    いやー声かけたいんですけど、今さら感が強すぎると尻込みしてるのです。
    お綺麗な人なので是非お声かけてみてください。

    若竹

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