2011年9月4日日曜日

ピクルス通信no.117  縁 

400枚ほどのレコードを収めることができ、かつ、アンプとLPプレイヤーを備えつけることもできる上背170センチメートルのオーディオ棚を、バイト先の同僚の大学のクラスメイトのお父上から2万円でゆずってもらったのは、7年前のことだ。

海外に赴任をしていてるお父上は、かつて日本を離れる際にレコード一式とオーディオ棚を日本で一人暮らしをする娘の部屋に預けたのだが、彼女も大学卒業とともに部屋を離れることになり、棚の行き場がなくなり処分に困っていたところ、それを耳にした私の同僚が、話を左から右へと流してくれたという経緯。

そもそも、そのバイトの同僚というのも私と浅からぬ縁で共に働くことになったのだが、と脇道話を始めればさらに3、4人が登場してもらう必要も出てきて面倒くさくなるのでここらで切り上げておく。

私が払った2万円には、赴任先の父上に送られるべくリストアップされたレコード群からは漏れた数十枚をも譲り受ける権利が含まれていた。

Jazz Will-O-the-Wisp/Al Haig Trio
Al Haig Trio:Jazz Will-O-the-Wisp

ジャズが多かった。

その時は良さが分からぬばっかりに、かなりの枚数を売り払って新たな一枚を買う軍資金に替えてしまった。なかには新たな趣味を喚起してくれ、その後、大げさに言えば我が血肉となって、今では棚にすっかり馴染んでいるレコードもある。

この白人ピアニスト、アル・ヘイグの作品もそうした一枚だった。

「愛想などは捨てました」。あくまで内向きに語ったプライベートな語彙集。

その音を聴いて「陰鬱」と感じ入るのは錯覚で、その時に我々を包んでいるのは彼の内的世界を覗き見てしまった背徳感であろう。

それゆえ、人と一緒に大音量で聴いて「いいよねぇ」と分かち合うような作品ではない。

周りが寝静まったあと、人目を忍んで小さなボリュームで聴くほうが適している。

こんな時に私もお酒が飲めたらいいのだが。

《If I Should Lose You》という名曲を知る。報われない恋歌、か。



先月、誕生日祝いとしてファーストの青木さんからアル・ヘイグ『Today!』をプレゼントして頂いた。その話もしたいところだが、今回のピクルスも冗長になってきた。またいつか、この一枚でガラリとかわったアル・へイグの印象を、それ以上にレコードをプレゼントされるまで青木さんと築いてきた関係を、それを言い出したら私とミュージックファーストさんとの馴初めなんかをも記すときがきたら、どれだけの言葉を費やそう。

若竹緑録

4 件のコメント:

  1. チョイバカオヤジ2011年9月7日 5:19

    あ〜、ご無沙汰してました(待ってやしないか?)、チョイバカオヤジです。新しくしたMacがメモリ不良で入院してまして、本人も世に言うお盆以来、絶不調でしたのでピク通(略して良いのか?)を拝見することなく過ごしてしまいました(そのくせLiveはやってましたが)。またお邪魔しますね〜。

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  2. LP数十枚付きのラックとはいいですね。今では満タンでしょうか。
    アル・ヘイグの大好きなボクとしては、「処分された」のが信じられませんが、ともあれラッキーでしたね。
    LP・CD合わせて9枚(アルバム10枚分)を所有していますが、カウンターポイント盤の「Jazz Will-O-the-Wisp」は彼のベストだと思います。
    秋にピッタリではないですか、一人で浸るように聞くの。珈琲を飲みながらでもいいと思いますよ。
    内向的でどんより曇った「Jazz Will-O-the-Wisp」に対して『Today!』は妙に軽快で明るいですね。

    長文歓迎、青木さんやミュージックファーストさんとの出会いも聞かせてください。
    kubota_toyoaki

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  3. GTさん

    待ってました!

    コメントありがとうございます。おかえりなさいませ(笑)これからもピク通(愛称感謝!)宜しくおねがいします。

    23日のカルヴァドスもチェックしてます!

    若竹

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  4. 久保田さん

    いつもありがとうございます。

    はい、人の縁のおかげでいい買い物ができました。深夜に台車をひいて2キロばかり歩いて持ち帰ったのもいい思い出です(笑)
    棚は埋まりずいずい拡張中ですが、聴かなくなったのも多々あるのでダイエットしようか思案中です。

    「Jazz Will-O-the-Wisp」、本当にこれからのシーズンにぴったりですね。このたび聴き直して浸りました。スタンダードも多くて聴きやすいですし。
    「today」は仰る通りでボサノヴァもやってたりして意外でした。
    今回、アルへイグに関して目にした文章がどれも寺島靖国さんのもので、読み物としての面白さ(偏愛さ)に感心しました。

    また久保田さんの「今日の3枚」にアルへイグが登場するのも楽しみにしていますね!

    若竹

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