2011年9月11日日曜日

ピクルス通信no.118 本の可能性


リアル書店に勤める私(念のために申し上げておくと私はMusicFirstのスタッフではなく一介の客です)にとって、電子書籍の登場は他人ごとではない。

日本より早く電子書籍の浸透が進むアメリカでは、今年2月、業界第2位の書店チェーン、ボーダーズが倒産した。

いづれ日本にも同じような波が訪れるのであれば、私のおまんまに直結する話であり、枕を高くしては寝られない。

では、いま考えるべきことは?

電子書籍になくて、本にしかない魅力を問い直すこと。

そうして見出されたものの可能性に、業界全体の未来を賭けるべきではなかろうか。

まず思いつくのが、「モノ」としての本の可能性である。

例えば、装丁、手触り、匂い。

ハッ。私もひとつ思い当たった。

本は、いざというとき「枕」になる。



とはいっても、私が所有している本で、枕になる可能性を秘めた分厚本は数少ない。

M/D マイルス・デューイ・デイヴィスIII世研究
『M/D マイルス・デューイ・デイヴィスIII世研究』

2005年に東京大学教養学部で行われた菊池成孔・大谷能生による講義録をもとにした壮大なマイルス研究書はそのひとつ。

マイルスファンでない私を一読後ファンにならしめた。それ以前も以後もちゃんと聴いてはいないけど。

豊富な楽曲分析はもちろんのこと、高村是州を迎えマイルスのファッションについて鼎談するところなどにも両氏の目端が利いている。

私は大谷さんが名古屋でジャズの講義イベントを行ったとき(2008年@カフェパルル)に購入し、サインをねだった。「何か一言入れてください」という無神経なお願いに「Dig it!」と書き入れて下さった。その時はこんな形で「探求する」ことになるとは思ってもみなかった。

さて、枕として試してみた。




感想。「固い」、その一言に尽きる。

しっかりと厚のある表紙で装丁されているためだろう。

固い枕、健康的な気がしないでもない。いや、しない。固すぎる。

寝付くにはやや時間を要するであろう。

この本はつい先頃に河出書房新社によって文庫化された

2分冊となったので、枕としては用をなさない。お買い上げの際はそのつもりで。



先日ようやく古本屋で見つけた一冊も「枕にしてよ」と誘ってくる。

クラシック音楽鑑賞事典 (講談社学術文庫 (620))
『クラシック音楽鑑賞事典 』(講談社学術文庫 )

これは1000ページを超える文庫。古典から現代音楽まで、クラシックの作曲家と作品が網羅的に解説されている。さらには指揮者、演奏家のリストも在中。

こんな分厚い辞典にも関わらず、他の文庫と同じように栞が一枚挟まれていたのが結構な冗談に思えた。まさか、これを1ページから順を追って読む者がいるのだろうか。

さて、枕として試してみた。




『M/D』よりも固くはない。「頭当たりはいい」というのが第一印象。

しかし横幅が短い(15cm)ためであろう、じきに緊張感が後頭部全体に行き渡る。

さらに、これは決定的なことだが、枕にするには高さが少し足りないのだ(4㎝)。

ああ、我にもっと高き枕を!


若竹Zzz

2 件のコメント:

  1. 本の将来を心配し始めると枕を高くして寝られないですね。
    寝る時のサイズは電話帳くらいがいいでしょうか。
    本の魅力はやはり手にした感触とか装丁のような気がします。
    古本のにおいとかも(笑)
    カバー・デザインも楽しみのひとつですが、何もないのでは味気ないですね。
    kubota_toyoaki

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  2. 久保田さん

    いつもありがとうございます。

    電話帳!その手がありましたか。ちょうどいいでしょうね。
    あと、電話帳って独特の匂いがありますからね、、、アロマ?

    ほんとうに手にしたときの感触って大切ですよね。レコードもしかり。

    若竹

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