2011年7月31日日曜日

ピクルス通信no.112 耳をすませば


私がたしなむ唯一の賭け事。

それは、足音だけを聞いてそれが誰のものなのかを当てること。

古い友人と久々の再会で、地下鉄改札口を出てすぐのベンチで待ち合わせ。

先に着いた私はベンチに座り、本を読むことにする。

目の前にも後ろにも人はどんどん流れていく。

集合時間が近づいて、本は目に落としながらも意識は耳へとシフト。

本の内容はもはや頭に入ってこない。

それもそのはず、こちとら記憶を総動員して「アイツの足音はどんなだったか」を思い出しながら耳に入ってくる足音すべてを峻別する作業に没頭しているのだ。

ではなぜ本を読むふりをするのか。それは決して顔を上げまい、という態度表明。

“カツっ、カツっ、カツっ”

きたきたきた!

この「人に媚びることはないあけっぴろげな性格、かつ、決して自分を安売りすることはないプライドを感じさせる」足音は、奴だ!

「よ、久しぶり」

大当たり。

名状しがたい喜びが、ある。

アウト・オブ・ザ・ブルー
Sonny Red : out  of the BLUE

ジャズにはブラインドフォールド・テストという楽しみがある。

初めて聴く音源に対しそれが誰の演奏かを当てる、というもの。

例えばピアニストだったら、アドリブのなかに散見される手癖フレーズから推し量って誰と特定する。

このソニー・レッド(as)がリーダーの一枚。

共演者を見ないまま購入し、CDプレイヤーへ。

「あぁ、この陽性満開のピアノ。フレーズが上がりきってから下がるときに出すちょっと蹴つまずいたような手癖、ウィントン・ケリーに違いないわな」

そしてクレジットを見て当たったことを確認した。

もっともこの場合、レーベルや録音時期などがわかっているので候補はずっど絞られてくるのだが。

そしてウィントン・ケリーはブラインドフォールド・テストの最も初歩段階に挙げられるプレイヤーだろう。それほど一聴きして誰とわかるピアノを弾く。



足音当ての件にしろ、ウィントン・ケリーの件にしろ、皆さんが感じていることは私もわかっています。

言ったもん勝ちじゃん


若竹めいびい

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